美醜のうち、醜を愛するものは、意識としては美を知るものなのだろうか。
事の善悪の区別のつかない3人の犯罪者一家。家族構成は母親と、二人の兄弟。母親は麻薬密売を仕切っていて、兄弟は訳ありでタイでキックボクシングのジムを営んでいる。ある日、兄は突然人として生きることを止め、少女を犯しなぶり殺しにする。その場から逃げもせず、まるで当人が望むかのように少女の父親になすがままに撲殺されていく。
拳法の達人である、警官たちを操る男がいる。歪んだ正義のもとに、悪人たちに制裁をくだしている。
互いが負の連鎖にはまりこみ、凄惨な殺し合いの中、一般人も巻き込まれて多数の死者が出る。
誰のどの行為も正当化されない中、題名に痛烈な皮肉が込められている。「神だけが赦し給う」窓から見える木枠が十字架に見える場所で、殺人が行われる。手足をキリストのような串刺しにされる悪党がいる。
神などいるものか。赦しなどあるはずもない。創り手のどす黒い嘲りの声を聞いた気がした。そんな自分も闇堕ちしてるかのような錯覚に陥いらせる。それがレフンの美学なのだろうか。
いや、美学などという、すかしたものになど興味はあるまい。そもそもこの世の美醜に線引きをするなど、無意味な行為なのだから。
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