Yoko

オンリー・ゴッドのYokoのレビュー・感想・評価

オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)
3.5
バンコクでボクシングジムを経営する兄弟の片割れが殺された。
残された弟は…。


『ドライヴ』が全く肌に合わなかった自分としてはレフン作品にかなりの不安を感じていたが、結果的に『ドライヴ』よりは好きかなという感じ。
『ドライヴ』と同じくやりたいこと存分にやってるなぁというのはヒシヒシと感じたのだが、今作ではその点において監督自身の信条を押しつけるような圧迫感や傲慢さを感じなかった。
『ザ・ビーチ』とはまた異なる淫靡な雰囲気のタイを切り取る上で、フィクションを高濃度で煮詰めた画作り。
「キューブリック+リンチ」的な画は純度の高い映画的なモノであり、それだけで楽しめた。
R・ゴズリングが持つ根っからの無表情はこういう作風に強く活かされる気がする。
いっそ無声映画にしてもよかったかも。

ただ、やっぱり脚本にはそそられない。
展開もこちらの想像を超える訳でもなく、画の割には落ち着きすぎてしまったかなという印象。
誰にこの映画を捧げたのかということが分かった今、目指していることはなんとなく掴めたが…。

そろそろ自分にとって忘れがたい衝撃を与えるレフン作品に出会いたい。
テレンス・マリックとかギャスパー・ノエ作品を観ている時に感じた「とんでもないモノを今観ている」という気分にはまだ至っていない。
まだ足りないっすね。
Yoko

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