すずき

オンリー・ゴッドのすずきのレビュー・感想・評価

オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)
3.6
現代のタイ・バンコク。
この地に住むアメリカ人のジュリアンは、麻薬組織の女ボスの息子で、自身も組織の一員である。
ある日、少女を強姦殺人した兄が、その父親に殺されるという事件が起きる。
組織のボスである母は復讐を命じるが、事件の犯人は少女の父親の他に、兄の殺害を手引きした黒幕、チャンという謎の男がいる事が判明する…

「ドライブ」の監督×主演タッグが送る、人を選びまくるカルト映画。
監督いわく、この映画をホドロフスキーに捧げる、との事。
しかし、セリフを極限まで削ぎ落とし、更にキャラクターは無表情でアップ多め、妄想と現実の境が曖昧、とデヴィッド・リンチの作風に近いかも?
あー、でもアジア文化をフィーチャーする所はホドロフスキーっぽいか。
どちらのカルト監督も悪夢のような映像を得意とする監督で、この映画ももちろん悪夢。
特に、真っ赤な照明に照らされた、オリエンタルなド派手壁紙の娼館のビジュアルが夢に出そうなほど毒々しい。なんかメガテンのダンジョンっぽいし。

主役はゴズりんなんだけど、主役を食うほどのインパクトを誇るのは、一応敵役?のチャン。
見た目は普通のおっさんだが元警官で、今でも制服警官を従えて、圧倒的暴力でもって人知れず悪党どもをソードキルしまくるヤベー奴。
もうめちゃんこ強くて、素手での戦いもゴズりんが軽くあしらわれボコボコにされてしまう。
その格闘シーンの動きもキレッキレ!悪党を拷問するシーンもキレッキレ!ソードキルするシーンもキレッ斬れのブチギレおじさんだ。
ちなみに趣味はカラオケ。付き合わされる部下達も無表情なのが可笑しい。

そんな神に変わってお仕置きよ、な神の代理人のチャンと、自らの罪に悩むゴズりんの邂逅を描いた物語。
アクション物じゃないってのは分かってるんだけど、クライマックスは一度は敗北したゴズりんvsチャンの第二ラウンドを描いてほしかった!
なんか覚醒してゴズりんが勝利、しかしトドメを刺さずに、あのラストへ繋がる…そんな熱い展開だったら良かったのにー。
いや、そういう映画じゃないってのは分かってるのよ!