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ウォールフラワーのBeSiのレビュー・感想・評価

ウォールフラワー(2012年製作の映画)
4.8
スクールカースト最下層に位置づけられた高校生のチャーリーがはみ出し者のサムとパトリックに出会ったことで彼の人生が一変する物語。今まで味わえなかった生きることの喜びを噛み締めるなかでチャーリーの経験する辛さには共感する部分が多かった。皆それぞれ苦悩を抱えながらもお互いに励まし合いながら生きている。やはり自分一人で迷走していたって何も始まらない。何か自分の中の価値観や塞ぎきった気持ちを変えるきっかけを作らなければいけない。そして出会った2人のはみ出し者。自由奔放だが、思い出したくない過去、家族間や進路の問題から抜け出せないでいるサムと、誰に対しても快く接していてやんちゃだけど、ゲイである事を隠すパトリック。そして親友と"世界で一番好きな人"である祖母を亡くしたことによって幻覚を見るようになり、心を閉ざしてしまったチャーリー。ある意味似た境遇にある3人が出会った事でチャーリー自身の目の前の世界が変わっていく。10代という年代だからこそ経験する挫折や痛み、仲間との亀裂。周りの差別や偏見を押し退けて突き進んでいく若者達。このような人達の人生観をこんなにもリアルで鮮明に描きだす青春映画は初めてだった。さらに、題名にもある「ウォールフラワー」の花言葉というのが"逆境にも変わらない愛・誠、愛の絆、長続きする美"であるのだが、これが見事に題名やストーリーに当てはまる。愛や友情は、どんな「逆境」にも打ち勝つ最強の武器なのだ。この映画は数ある青春映画の中の頂点に君臨するほどの傑作と言えるだろう。今を生きる全ての若者いや、全ての人に観てほしい素晴らしい作品。私達が仲間と共に生きるこの瞬間は、無限だ。
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