ここ一年で見た旧作ではベストテンに入るほどの良さ。
ざっくり言うと、生きていく上で避けて通れはしない変化についての話だ。
変わるも変わらないも、素晴らしいことだし、ダサいことだし…っていう絶妙な境い目について、ダサくならず描けている。
窪塚、井浦演じる学生時代の男友達2人を別の人間のように描きながらも、ちゃんと言葉や感覚の表現で繋ぎとめる。
変わらずにいることを滑稽かもしれないと自覚させている点と、窪塚という余りに「普通で特別」な男のために、中途半端な懐古系、中二系な話にとどまっていないのがいい。
全編通して、明るくなりすぎず、暗くなりすぎず、きちんと重くて深い。
このバランス感たるや。
海を見に駆けだしたくなる。忘れてた何かを思いだす時間って大事だよ。忘れていても、消えてしまったわけじゃない。
劇中で流れるムーンライダーズによる「ダイナマイトとクールガイ」の歌詞。
“僕ら出会ったその日に
ここの 水平線を見つけた
二人で 車飛ばしてきて
愛の果てを見つめているよ
はしゃいでる波の中が
ダイナマイト クールガイ
僕たち 言われてた頃に
帰れない 忘れない お互い
愛を返す季節じゃない
愛を試す季節じゃない”
これが、この映画の言いたいことにも繋がっていて、以降、ジ・エクストリーム・スキヤキ版で聴くと切なくて泣いちゃうよ。