イチロヲ

ビル・カニンガム&ニューヨークのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
ファッションのスナップ撮影に勤しんでいる老人ビル・カニンガムを追っている、ドキュメンタリー作品。ビルは2016年、87歳で死去している。

主人公の老人は「人々のファッションを記録する」という活動を能動的におこなっている人物。愛用のフィルムカメラに拘りながら、ひたすら街角のファッション撮影にのめり込む。ストリートに「生きた芸術」を視ている老人の物語。

本編の台詞を借りると、まるで戦場カメラマンのような仕事風景。自転車を走行させながら、片手でカメラ撮影という曲芸に笑わせられる。汗水流しながら真面目に撮ってくれるため、拒否反応を示す人間がいないところも面白い。

何よりも「人のファッションに優劣を付けない」という信条が素晴らしい。日本ではオタクの色として揶揄されがちな「黒」であっても、黒特集として公平に取り上げる。ホームセンターで販売されている清掃員の服装ですらクールに見えてくる不思議。
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