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静かなる叫びのようのレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
4.5
カナダの理工大学で実際に起きた銃乱射事件をモチーフにした作品。
アンチフェミニストの男による犯行で、多くの女性が亡くなった事件とのこと。

ともすれば危険思想の男がかつていたってだけでこんな事件になったと片付けられる可能性もあるけど、単なる昔の話ってことでもないかと。
また、ミソジニーやそれに準ずる思想ってのは、自覚的かどうかに関わらず多く存在してるわけで、自分も他人事ではない。
日本でも医学部受験の段階で女性差別がいまだに起きてるわけで、他所の国の話でもない。その道における未来を断つって点ではそんな変わらない話。
まだ事件が起こる前、彼女が面接後にトイレで悔し涙をこらえるシーンだけでも印象的。

ドゥニ・ヴィルヌーヴは、淡々と事件を見せてくる。それでも、ショッキングな場面はしっかりある。
メインとなる二人の男女を少しだけ接点をもたせてたり、事件の時系列を少し変えた構成にしたりしていて、そこには物語性がある。
その二人のニアミス、「ここでそれぞれの思い違いがなければ、もしかしたら少しは……」って思わずにいられない。そのシーンを終盤に持ってきて、こっちをモヤ〜っとさせてくるのは、なんとなくドゥニっぽさな感じ。
ただ、自分的には時系列順にして、より淡々とさせたほうがよかった気もするかなあ。

モノクロにした実際の意図は何だったのか知らないのだけど、モノクロだとなんか普遍的な話を見せられてる感じは受ける。文字どおり、色褪せないっていうかね。

鑑賞後、Wikipediaでこの事件についても読んだ。
実際、生存者は後遺症に苦しむ人が多かったよう。
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