スペイン内戦をモノトーンの絵に落とし込んだピカソのように、私たちもこのモノトーンの映画から何かを感じる。
それは過去のことではあるけれど、他人事ではない。
モントリオールで実際に起こった銃乱射事件を元に、事件に巻き込まれた二人の学生にピントを当てたドラマ。
他人の命を救えたのに事件に囚われてしまった男子学生と、友人を失いながらも前を向く努力をする女子学生の対比が強く印象を残す
犯人の行動に一切の理解はないけど、彼の死ぬ時の顔は不思議と切なく映る。
ドゥニの監督としての完成度は凄まじく、銃乱射のシーンはどちらにも肩入れすることなく淡々と行われ、ドキュメンタリーを観ているような気持ちにさせられる。
凄惨な映像をモノクロで見せる演出はシンドラーのリストで効果的だと証明されているが、やはり監督の手腕があってここまで活きてくるものには違いない
凄惨さの中に不釣り合いな美しいシーンが時折差し込まれる辺りにドゥニを色濃く感じた。
以前から再三訴えているが、ドゥニにはまたハードボイルドな映画を撮ってほしい