おとなのみほん

静かなる叫びのおとなのみほんのレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
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これはもっと多くの人の目に触れるべき映画。
1989年12月、モントリオール理工科大学銃乱射事件を元に描かれた作品。先日も乱射事件がありましたけど、こう言う無関係で無抵抗の弱い人を巻き込む犯罪は本当に腸が煮えくり返りますね。

銃の身近さと言うのはやはり銃社会の国と比べれば理解出来ない部分も多々あるのですけども、日本で言うと台所に包丁があろうと子供って全く触らないですよね。それって、気軽に触って良いものじゃないと言う認識をしっかりさせられているから大人になっても何の為に使うものかと言う分別が付いているんだと思う。
そして親がフラストレーションの発散や、逃げ方を教えないままにこの外道は大人になり、蓋をし続けて居た悪意がもう爆発してしまったのかな。許せない。長く近くに居るからと言って、家族のことを完全に理解することは難しい。それは自分と同等の機能に頭脳を持ち思考する動物は人以外に居ないのだから。でも、その努力をしなければこうした傷ましい事件が無くなることはないんだろう。
ラストシーンは命を担う彼女の覚悟が物凄い。子供を持つ、親になると言うことの責任を考えさせられます。

タルコフスキーの「鏡」のような美しいカメラワークに、こだわりの構図、時間軸の配置センス、どれを取っても美しいヴィルヌーヴの才能がこのような悲しいことに使われないように、こんな残忍な事件が二度と起きない事を願います。

今作事件の被害者の方、そして先日、先月。銃乱射事件の被害に遭われた全ての方々のご冥福をお祈り致します。