このレビューはネタバレを含みます
原題:Polytechnique
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
ヴィルヌーヴを追いかけるなら観るべきだけれども
題材の銃乱射事件に触れるのが辛く少しためらった。
犯人の陰鬱で理不尽な理由。冷静で執拗な暴虐。
彼の凍てつくような表情 目つき 呼吸 佇まいが
雪の降る情景をよりいっそう寒々とさせてゆく。
演じるマキシム・ゴーデット…
【灼熱の魂】の双子の弟役で初めて知った俳優。
この映画でより強烈な印象が残った。
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静と動=平穏と不穏のコントラスト。天地廻転。
じわじわと忍び寄ってぐつぐつと沸騰する惨劇。
エントロピーの増大か。モノクロームの混沌か。
犯人の血と女学生の血が求め合うように繋がり
認めがたく許せないその美しさ艶かしさに惑う。
ヴィルヌーヴらしいなとはおこがましいものの
初期作品から一貫の拘りと念を受け止めている。
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生き残ったふたり 彼らに想いを馳せる。
幸運にも命をつなぎとめたとして素直には喜べない。
生き残った者はそれまでの日常に易々とは戻れない。
トラウマ PTSD フラッシュバック 急性ストレス障害。
わかりやすくあてはめた用語なんかで括りきれない。
憎悪と共鳴。悔やみきれない選択。覚悟の先の狼狽。
己を責め。宛てなき手紙を綴り。密室で封を綴じる。
どうあっても乗り越えられないことを
いろいろ想い出してやはり哀しかった。
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余談。
ヴィルヌーヴと関係ないが銃乱射について
昨年話題になった2分半のショートドラマ
【Evan】
https://www.youtube.com/watch?v=A8syQeFtBKc
紹介記事
https://gigazine.net/news/20161217-evan/
もしご興味あればぜひ。