LEONkei

ガーデンのLEONkeiのレビュー・感想・評価

ガーデン(1995年製作の映画)
4.0
人は永遠に未熟なままで良いのかもしれない…

仕立て屋の父と同居し生きる気力を失ったかのように迷える青年ヤクプ…たどり着いた先は祖父が残した田舎の廃墟とかした古い一軒家。
敷地内の庭は雑草に覆われ荒れ果てているが、そこには〝リンゴの木〟が一面に美しく力強く生い茂る。

ベッドの下から祖父が残したと思われる、逆さ文字で書かれた不思議な日記帳。
ヤクプは在り来たりの生活から何を見いだすのか。

荒れた庭…壊れた家屋…食べるモノさえない…不便で何をやるにも自分の手で1つ1つ行わなくてはならない。

あるのは庭の〝リンゴの木〟だけ。

その〝リンゴの木〟に導かれるように、可笑しな可笑しな訪問者たち。

その訪問者のひとり、少し小生意気で純真無垢な少女ヘレナに自分はココロ奪われた。

透き通ったココロとどこか冷めた印象を受け、鮮やかな藍色のワンピースを着たヘレナの虜になる。
幼く無邪気な振る舞いをするヘレナと相反し、大人の表情を見せたときはドキッとする。
ヤクプが〝リンゴの木〟から収穫したリンゴを、摘んだ籐製の籠の中に手を忍び込ませた表情が何ともいえない。

ヘレナはヤクプに何を与えるのか…何を伝えたいのか…観ている自分も自問自答する。

ルソーは言う『技術の進歩こそ人間性の堕落だ』…。

なんの変哲もないように見えてもココロ沈めて観れば、不思議な空間・滑稽な人々。

まだ熟していない青いリンゴのように、人は皆何歳になっても未熟のままなのかもしれない。

生まれた瞬間から死に向かって生きるのが生き物の宿命だが、成熟し続ける限り生きている証でもある。
リンゴのようにいつか完熟しても、人は死ぬまで完熟しないのかもしれない..★,