オトマイム

もうひとりの息子のオトマイムのレビュー・感想・評価

もうひとりの息子(2012年製作の映画)
3.9
ある日突然、18歳になる息子が自分が産んだ子供ではないと知る。そして本当の息子は産院での取り違えにより隣の敵対国にいる。イスラエルとパレスチナという問題が絡み話はより深刻…

もっとドロドロした展開になるかという予想に反して、抑えた静かな演出に引き込まれた。アイデンティティーを見失ったヨセフ、自分は自分と揺るぎないものの周りの反応に戸惑うヤシン。きょうだいの反応もそれぞれ。そして母は強く優しい。狼狽える父親に対し海のような母親の愛には胸を打たれ包み込まれるような安堵感を覚える。

豊かで自由な国イスラエルと、貧しく制約の多いパレスチナ。ユダヤ教とイスラム教の対比も含め、両国の対比を鮮やかに映し出す。もし間違いがなければ二人は全く逆の暮らしをしていたのだ。

国境なんて誰かが勝手に決めたもの。国や民族が違っても血の通うひとりの人間であることに変わりはない。ふたりが少しずつ現状を見据え周囲をも動かしていく様子が丁寧に描かれていた。終盤の歌のシーンには鳥肌が立ち涙 。゚(゚´ - `゚)゚。