ブルームーン男爵

もうひとりの息子のブルームーン男爵のレビュー・感想・評価

もうひとりの息子(2012年製作の映画)
3.7
子供の取り違えの話。おまけにユダヤ人とパレスチナ人との取り違え。住む地区も違う、宗教も違う、いがみあう民族同士の取り違えにより、二人つの家族は翻弄される。イスラエル・パレスチナ問題について考えさせられる良作。

しかし、この興味深い設定ながら、とうの二人は意外と事実を受け入れ、後半はおさまるところにおさまっていき、穏当な結末となっている。結末は同じでもう少し心理的葛藤の過程などを描けたら、深みのある作品になっただろう。現実のパレスチナ問題や問題の重さを考えると、後半のあっさりとした終わりは若干拍子抜けだった。

テーマについては是枝監督「そして父になる」と同じ。「もうひとりの息子」の方が問題が複雑だが、心理描写については「そして父になる」の方が丁寧に描かれている。