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身をかわしてのAlllyのレビュー・感想・評価

身をかわして(2003年製作の映画)
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下流階級の学生たち。
内気なクリモという少年は演劇の練習に夢中で活発なリディアに恋をし「愛と偶然との戯れ」でアルルカン役を演じ気をひこうとする。
クリモの告白に戸惑ったリディアは返事を保留にし、クリモの元カノや彼の友達はリディアが彼をはぶらかしている、と言い完全に自分の物差しで他人を見ていて、ものすごく自分中心な子達なのだけれど
そういった思春期の衝突というのは敏感な時期だからとても大切な事だと思った。

そして戯曲を演じるわけですが、
ここで先生は”役の気持ちを想像する。自分を引っ込める”という事を教えるわけで、
そこがまた対比となっていて面白い。
クリモの演技がひどい棒読みで、彼は想像力というものが全くない以前に興味があるのは演劇ではなくリディアで、
そんな彼を見ていてイライラする(というのも自己中だよね)彼の友達は、リディアの気持ちを白黒はっきりさせようとリディアと同じ演劇仲間のフリーダに暴力的な脅しまでする。
そしてフリーダもフリーダで噛み付くし、もうみんな嚙みつきすぎなんだけど、
思春期は皆自分を守ることで精一杯だよなぁ、自分が正しくて偉いと思うことで自分を保つんだよなぁって。
全くファンタジーで味付けされていないリアルな思春期と下流階級の学生の風景を観れてとても圧倒された。傑作。
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