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身をかわしてのnagashingのレビュー・感想・評価

身をかわして(2003年製作の映画)
5.0
団地映画の傑作。執拗な顔面のクローズアップは、キスへの衝動やこぼれる涙へと昇華される一方、人物の距離感や具象的な空間をほとんど描出できない。その近視眼的な映像が、家も学校もおなじ濃密なコミュニティーにおけるゼロ距離コミュニケーションの衝突や、出し抜けに起こるカタストロフの不能感におおいに活かされている。芝居の長口上のごとくまくしたてる女の子たちの熾烈な攻撃性、視野狭窄でとんちんかんな男の子たちのホモソーシャルな連帯に笑い、サラ・フォレスティエのアナ・トレント級の目力、神経症的にあおがれる扇でゆれる前髪に魅入られる。感情表現はへたくそだが告白はストレートな主人公に対して、演技は得意なのに自分の気持ちはよくわからないヒロインがかわいい。いかにもマイルドヤンキー的なエロスをたたえた(デカパイの)元カノもよかった。
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