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ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金のrollinのレビュー・感想・評価

4.2
マイケル・ベイ監督作品の中でも『13時間』に次いで大好きな映画。しかし今回観直してみたのは、本作の脚本を手掛けたのが、後にMCUの中核となる作品を担うクリストファー・マルクス&スティーヴン・マクフィーリーのコンビだったから。アンソニー・マッキーがウィンター・ソルジャーに出演したのも納得。

ピュアな脳筋マッチョ3人組が、社会の価値基準は金だということにようやく気づき、規格外の杜撰な計画をもって金持ちから資産を取り上げるというアメリカン・ドリーム。
あまりにもニンジャで「カワバンガ!」でどバカな彼らの行いと、だって実話だもん!という強烈な映画的居直りは、この事件のコメディ的性質を担保しながらも、同時に映し出される絶望的な倫理観の欠落には寒気を感じる。

大作映画に見られるマイケル・ベイ特有の空虚さは、本作に至っては自己言及的に巧く作用しているし、現実では到底受け入れられないほど倫理観の破綻した主人公を魅力的に描ける手腕は、ルッソ兄弟作品、果てはサノスにも通じる。

とにかく地に足のついたマイケル・ベイほど恐ろしいものはない。
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