ゆん

ギニーピッグ2 血肉の華のゆんのレビュー・感想・評価

ギニーピッグ2 血肉の華(1985年製作の映画)
5.0
「日本が世界に誇る低俗スプラッター」
ホラー漫画家日野日出志のもとに、何者かが撮ったというスナッフフィルムが届いた。そのビデオを日野日出志自ら映像化する。
内容はひたすら女性の身体を解体し続けるものだが、赤い靴、鎧兜に白塗りの男、ホルマリン漬け、劇場用のライトなどのドラマチックな演出が光る。摘出した内臓や眼球を愛でながら詩を紡ぐ異常性癖の男は日野日出志漫画そのもの。
ストーリーなんかいらん、リアルで、チープで、生臭い特殊メイクで彩られる人体破壊だけを観ていたいという諸兄にはぴったりの作品だ。

映画秘宝9月号のインタビューで、日野日出志は「おそらくこれに類似した事件が将来起こる、絶対そういう奴が出てくるような画を作るから、その時絶対この作品がやり玉にあがる。きっとビデオは回収される。でも、その時初めて技術的には未熟な低予算ビデオだけど、これはきっと伝説になる。」と語っている。
事実本作品は、海外で本物のスナッフフィルムだとFBIに通報された、宮崎勤が事件の参考にした(実際は同シリーズ別作品)などという報道から様々な憶測を呼び、入手困難な伝説的作品となった。
私にとっても、多感な時期にみた本作の低俗さと芸術性を兼ね備えた不思議な作品世界は衝撃的で、魂が共鳴するような思いだった。それは漫画「蔵六の奇病」等の日野日出志作品を読んだときに感じる共通のもので、いくら不謹慎などと言われたとしても、現実に起きた事件とは切っても切り離せない感情なのだ。
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