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ウォーム・ボディーズのRのレビュー・感想・評価

ウォーム・ボディーズ(2013年製作の映画)
3.7
イケメンゾンビが人間の女に恋することで、徐々に人間性を取り戻して、人間に回帰していくって話。ゾンビっていうと、もう完全に逝っちゃってて二度と戻って来れない絶望感が面白いので、ゾンビのなかに人間味が残ってるってのに最初はすごく違和感がある。ゾンビのナレーションによる愚痴がユーモラスな冒頭、動きがノロすぎる、空港をヨロヨロ歩き回るだけ、感情がない、仲間と会ってもうーうーうなり合うだけ、おもしろくない、とりあえず腹減ってて人間食わなきゃなんない、などなど、ブツクサ言ってる。で、脳みそ食べると、その人の昔の記憶がぶわっと自分のなかで蘇って気持ちいいんだよね、と。そんなゾンビの生態が可笑しいやら哀しいやらで、だんだん設定に馴染むと、普通に面白く見れる。ほんで、イケメンゾンビが恋する相手は数少ない生き残りの人間なので、相手はスーパー警戒状態。けれど、彼の献身的なケアによって少しずつ彼女のハートも開いていく…って話で、見ようによっては普通にイケメンやけどキモいコミュ障のナードが美女のハートを勝ち取っていくプロセスにも見え、女を口説き落とさなければならないときに立ちはだかる超えるべき一般的な壁が比喩的に描かれている感もあり、なかなか面白い。かすかながら恋の成就の可能性が生じてくると共に、ゾンビ君のなかに更に理性が蘇っていき、だんだん人間らしさを取り戻していく。と同時に、その気持ちのあたたかみが他のゾンビにも波及。愛はゾンビと人間を救う的テーマになっていく。この辺はきっと賛否両論を呼ぶところでしょう。ところが、他の人間側の視点からしたら、ゾンビはゾンビ、恐怖と警戒から、とにかく目にしたゾンビは皆、問答無用でいつでも脳を撃ち抜く気まんまん。果たして、女とゾンビの恋は成就するのか! しないのか! ってのをスタイリッシュな映像とカッコいい音楽に載せてテンポよく見せてくれます。しかもそこそこ短いのでシャッと見れて良い。ただ個人的に気になるところが2点。ひとつは、最後の血のシーン。それまでのパパのモードがコロッと手の平を返すように変化するのが、やや唐突すぎない?って思ったのと、個人的に、ゾンビが人間様たちに迎合して認められるかどうかとかより、ゾンビには人類のはらわたを食い滅ぼしてほしいという願望がどうしても湧き上がってしまう。やっちまえよ、あんな奴ら。でもこれは好みの問題なんやろね。ふつうにロマンチックで好きーーってなる人も(の方が?)多いと思われます。まーゾンビ、イケメンやし。イケメンであればゾンビでも許される、ということを証明した映画であると言うこともできましょう。イケメンは本当に絶対的正義なのでしょうね。かわいそうに。
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