キャッチ30

スノーピアサーのキャッチ30のレビュー・感想・評価

スノーピアサー(2013年製作の映画)
3.8
 2014年、地球温暖化を防ぐため人類は化学薬品CW-7を散布したが、全ての陸地が雪と氷に覆われてしまった。冒頭の説明を聞いただけで、『マッドマックス 怒りのデスロード』を氷河期に置き換えたような設定だ。

 続きはまだある。辛うじて生き残った人類は永久機関で動く特急列車「スノーピアサー」に乗り込んだ。しかし、列車は世界の縮図を描くように貧富の格差が激しい。前方の車両は富裕層が優雅な生活を贈る一方で、貧困層は列車の最後尾に押し込められていた。おまけに、食料はプロテインブロックというお粗末な有り様だ。

 時は2031年。最後尾で生活しているカーティスはこの状況を打破する為に自分を慕うエドガーやターニャ、ギリアムと共に反乱を企てる。カーティスは電子扉を開ける為にナムグンとヨナの親子を解放し、共に先頭車両を目指す。立ちはだかるのは列車の設計士であり、支配者のウィルフォードや総理のメイソンだ。

 ポン・ジュノ監督は映画の躍動感を落とさない。バラエティに富んだ列車内の美術装置や社会風刺は強烈だ。怪物的な存在感を見せたティルダ・スウィントンやソン・ガンホも良いが、暗い過去を背負って進み続けるクリス・エヴァンスの存在が光る。