元レンタル担当

スノーピアサーの元レンタル担当のレビュー・感想・評価

スノーピアサー(2013年製作の映画)
4.0
冒頭、
“地球を救え”の文字は皮肉にも成れの果てを映しだす。
某ディザスター映画でもあるように
地球温暖化と氷河期は密接な関係にある。
地球が原点回帰しようと力が働くことにより、再び氷河期が訪れるとまことしやかに噂されている。
今回は地球温暖化に終止符を打つかのごとく人類が編み出した“人工的”な冷却化学薬品。
だが、それが裏目となり氷河期を迎える。

旧約聖書に登場する“ノアの箱舟”のように人類最後の希望は今日もノンストップで走り続ける。
最後尾から先頭までセクション毎に区画された車両は階級に見立てたヒエラルキー。
民衆を率いる革命の先導者と支配者という対立はフランス革命を彷彿とさせる。

列車内は全てが管理された階級社会。
思想・言論までが統一されていて、
多種多様な価値観は存在しない…
“否定”という概念も存在しない…
支配者がうなずくとそれが絶対になる。
たとえ、そこに違和感があったとしても…。
何もかも閉鎖された社会だからこそ、支配者を崇拝するまでに至った洗脳社会。
思想・言論への疑う余地がない恐怖はフィクションにあらず、現実でも“あちら側”の国を批判しているかのよう。

史実や聖書を参考にしたような内容をポン・ジュノが映画化。
終始、一貫して伝わるメッセージ…
いつの時代も
《虐げられる者とそれを嘲笑う者との対立構造は変わらない》
人類が存亡をかけて協力するのではなく、永久に争い続けること。
ストーリー終盤でも結局、変われない人間に鉄槌が下され“ノアの箱舟”のような結末を辿る。そして、全てはリセットされ新たな世界へと創世される。
フィクションとして全てを切り捨てるのではなく、人類も同じような結末に一歩一歩近づいているというポン・ジュノからの警鐘のようにも受け取れる…。

〜それでは皆さんいい夜を🌙〜
元レンタル担当

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