教授

スノーピアサーの教授のレビュー・感想・評価

スノーピアサー(2013年製作の映画)
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いきなり話に入るところが良い。もう、ダラダラしない!潔くて良し。
ところどころ石井聰亙監督「爆裂都市」はなぜか思い出した。
全然違う映画なのに、なんだか怒りの根源とベクトルが似ている気がする。

そしてキャラクター造形がなんというか、優雅。非常にユニークなキャラクターが総出演。狭い列車内という舞台の中で暴れ回る。
ソン・ガンホの破壊力や、ティルダ・スウィントンの怪演など、これぞ映画的ディフォルメ!非日常を味わえる。

また、非日常設定でも、怒りの理由としての社会の理不尽。格差。貧困。選民意識。
それらをひとつひとつぶちのめして行く爽快感と、とってもシュールな映像感覚に心が躍る。

が、ラスト近くになって急にグダリだす。
なんとなくが、色々曖昧になり、そもそも、怒りに拳を振り上げる時は威勢は良いものだが、実際にこの限られた世界とシステムの中で革命を起こしたとして、具体的にどうしていくのかは、勢いでは解決しないというシビアな部分に、回答があったとは言い難いかなぁと思う。

その急速な失速感は残念に違いないが、様々な意味で、様々なアイデアとテクニックで十分楽しめた作品。
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