"後部車両のレジスタンス"
ポン・ジュノ監督が欧米キャストを集めて制作したSＦアクション。主人公のクリス・エヴァンスをはじめ、ティルダ・スウィントン、エド・ハリスら豪華俳優らが出演。同監督作品ではお馴染みのソン・ガンホも出演している。
『パラサイト』では地下に住む家族と丘の上に住む家族の縦の関係を描いていましたが、それとは対照的に今作では後部車両に住む住人と先頭車両に住む住人という横の関係を描いている。
どちらにも共通しているのは、貧困層の目線で描いているところ。この辺りはポン・ジュノ監督の作家性が出ていると思う。
これまでのポン・ジュノ監督のフィルモグラフィーの中では異色ともいえるガチなSFだが、結構ツッコミどころも多い。凍りついた地球を走る「スノーピアサー」という列車はいわゆる世界の縮図とも言えるのだが、ちょっとファンタジックすぎるというか、リアリティに欠ける印象。列車の中の暮らしはともかく、レールや橋などのインフラ整備はどうしてるのだろう…。
まぁ、SFだからそこまで気にしちゃいけないんだろうけど…。
個人的に気に入ったのは、ティルダ・スウィントンの怪演。これまでのイメージにはないあまりにもぶっ飛びすぎな役だったので、はじめは誰が演じてるのかわからなかったくらい。
全体的にSFエンターテインメント作品として見れば面白かったが、ポン・ジュノ監督作品として見ると、毒っけや嫌な後味の悪さとかがなく、ちょっと物足りなさを感じる。
