けー

ハード・ラッシュのけーのネタバレレビュー・内容・結末

ハード・ラッシュ(2012年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

ジョバンニ・リビシ出演作品攻略第3弾。

ジョバンニ・リビシは悪役で出演。
私の場合、目的の俳優が悪役で出演の時は基本悪役サイドの目線での鑑賞になるので作品の見方は結構な確率でおかしくなる。

ところでこの作品、主人公もなかなかの悪い人なのだ。

元密輸で天才の名を欲しいままにした運び屋クリスは結婚を契機にカタギにもどる。
ある時、妻のケイトの弟アンディがコカインの密輸を請け負うが、税関の抜き打ち捜査にコカインを海にポイ捨て。
アンディは薬物密輸グループのボスであるティムに弁償しやがれ!と死ぬほどボコられる。
弟を心配したケイトはクリスになんとかしてと頼み、かつてティムの兄と仕事をしていたクリスはティムに話をつけにいく。
兄貴の縁で簡単に話をつけられると思いきやティムはコカインかコカインの代金70万ドル弁償しろと譲らない。
仕方なくクリスは昔の仲間に声をかけ、密輸に手をそめることにする。

嫌々、密輸業にもどるかに見えて、途端に水を得た魚のようにイキイキしだすクリス。
そう。クリスはこの運び屋の仕事が大好きなのだ。 加えてコカインの弁償に偽札を用いることをおもいつき、パナマから5000万ドルの偽札を密輸する計画をたてる。



ちょと待て。



麻薬密輸業を兄から引き継いだティムは当然、麻薬を売りさばく組織から依頼を受けている。そして麻薬を売りさばく組織は麻薬を売りさばくことであがりと元手を稼ぐ。 「the Wire」とか「Breaking Bad」を見ているとこの商売のシビアさはなかなかのものだ。

信頼第一。
代金の支払いはきっちりと。

これをうまい具合に回転させていればうまい汁も吸えるだろうが、どこかで支障が生じればたちまち命の危険にさらされる。
麻薬を納品できなければ、それはもうすみませんでは済まないだろう。
アンディのポイ捨てのつけを支払わされるのはティムになるわけだから、弁償しやがれというのも当然。
だって失ったコカインが弁償できなければ殺されるのはティムだもの。


ティムは見た目はとんだサイコパスだが、意外に義理堅い悪者だ。

セバスチャンが持ってきた仕事をティムが請け負ったっぽいのだが、このセバスチャンはどうやらティムにとってはなかなかの友達らしい。というのもセバスチャンはアルコールや薬物に溺れていた前歴がある。
禁酒会やらにかよって依存症からの離脱をはかっているところだが信頼第一のビジネスに依存症を仲間にするリスクは相当なものだ。

しかもこのセバスチャンはクリスの相棒で、クリスから一番の信頼を勝ち得ているにも関わらず、クリスを裏切っている。
もう相当信頼できないが、ティムはそれでもセバスチャンと友達っぽい義理堅い一面をみせているし、ティムは荒っぽいようで意外にきちんとセバスチャンに気配りをみせる。

当初、アンディからお金を搾り取る気まんまんだったがセバスチャンから手を出すなと言われてからは、その線引きを犯すことはしない。 クリスを脅すために、クリスの妻であるケイトを脅せとセバスチャンにいわれた時も、脅すには十分だが身体的に後に尾をひかない暴力ということを冷静にやってのけた。サイコなふりでケイトを脅すが、とても冷静なのだ。
ここでもセバスチャンにいわれたことをきっちりと守っている。
加えて彼には幼い娘がいる。
あんななりだが娘のことは大切にしている感じだった。
事態が自分の思い通りにいかないからと酒や薬に逃げ支離滅裂となっていくセバスチャンと比べればはるかに真面目で信頼できる犯罪者のように思えた。(←は?)

クリスはクリスでこの事件をきっかけに運び屋こそ我が人生と、偽札も出先でまきこまれた絵画強奪の絵画も手に入れ、今後もうまい汁を吸いまくった人生をおくるようだ。

なにそれ!

ティムはあの時セバスチャンでなくクリスに恩をうっておけばよかったのに!
てか、そもそもクリスが引退しなければ、お兄ちゃんがそうしていたようにティムもクリスといいビジネスパートナーになれてたんじゃないのか?
クリスに密輸引き受けてもらば仲介業は安泰じゃん。

一番腑に落ちなかったのがティムがあそこでコカインやりだしたことかなー。
本物かどうか確認したらすぐに出て行けばよかったのに。

あとティムの娘はどうなったんだろう ...ってな感じになりますな。

クリスにとっての運び屋業が父親から受け継いだファミリー・ビジネスだとすればティムの麻薬密輸請負業も兄貴から受けついだファミリー・ビジネスっぽい。
小悪党だったのが兄貴不在でリーダーになって、その点荷が重かったのかもしれないけど、でもセバスチャンが絡まなければ... と、ついついティムを救済する方法を考えてしまう...。はい。御察しの通り、ティムを演じていたのがジョバンニ・リビシでした。

クリスの天才的運び屋の技というのがこの映画の見どころなんだと思うんだけど、ちょっと派手さに欠けたというかなかなか地味な作業の連続で...でも何事もそうだよね。

”小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道”ってイチロー選手もいってたもんね。(は?)

と、まぁそんな感じで。

ん?
今気がついた。
クリスとティムって”Ted"つながりー。

けー

けー