怨念大納言

言の葉の庭の怨念大納言のネタバレレビュー・内容・結末

言の葉の庭(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

映像の美しさが全て!

例えば三島由紀夫の金閣寺、例えばICE BURNの越冬、例えばレーサーXのSUPER HEROES。

文章力だとか、押韻だとか、早弾きだとか、表面的で芸術の本質からは遠そうな技術も、ある水準を超えるとそれそのものが芸術へと変容する。

この映画の映像は凄い!
時間が40分と短いのもよくて、90分あると流石に映像に慣れるんですよね。
特に、本作には君の名は。の隕石みたいなド派手なシーンはないですから。

水全般、特に雨の描写にはもううっとりしましたね。
反面、人物の顔はなんか中途半端にリアルで怖かったですが。

ストーリーに言いたい事は色々ある!
万葉集からたった一首引用しただけで「言の葉の庭」は大袈裟だろうとか、いくら何でも連絡先はおろか名前も聞かず、そもそも自分の学校の先生を「見覚えはあるが記憶にない」のは不自然だろうとか、に、27歳?23,4くらいに出来なかったの?とか。

あ、不自然とは感じましたがきちんと伏線は貼られていて、アンフェアではないというか、やっぱちゃんとしてんなとは思いました。
あとから「あ、そういう事ね」というセリフ多数。

「裸足でも歩けるようになりたかった」先生と、「先生が上手く歩ける靴を作りたかった」主人公の、お互いを強く想いながらすれ違う対比は素敵でした。

新海誠のフェチというか、中学生から見た27歳の女性の魅力もチラホラ。
学生から見た社会という未知の世界にいて、なんだかミステリアスで蠱惑的。
疲れきってパタンとベッドに倒れる先生の鎖国や胸に新海誠の異様な拘りを見る。
それから、靴を作りたいと言えば雨の中を歩いた素足を差し出してくれる。
あの女エロい!

時期とも一致しますが、秒速5センチメートルと君の名は。の間のような映画です。
怨念大納言

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