このレビューはネタバレを含みます
雨の日は学校をサボって近くの公園に繰り出す、靴職人を目指す男子学生と、同じく雨の日に現れ昼間からビールを飲む女性。
次第に会話を重ねていき、2人にとって雨の日は現実から逃れられる特別な日となっていった。
梅雨が明け、公園へ足を運ぶ理由がなくなりしばらく経った頃、
男子学生の通う学校で、その女性とすれ違う。古典の教師だったのだ。
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作品の8割が雨のシーン。
しとしとと降る雨は、晴天の日の、一見晴れやかな現実から逃れられる唯一の口実。
2人が会っていた場所は、雨のヴェールに包まれ優しく守られている。
年齢は離れているものの、
2人とも自分で歩ける練習をしに、その場所にきていたのだ。
新開誠さんの描く風景は、優しく繊細で美しい。