空きっ腹に酒

オン・ザ・ロードの空きっ腹に酒のレビュー・感想・評価

オン・ザ・ロード(2012年製作の映画)
5.0
(再鑑賞)


「踊れ “生きてる”と感じるために」

もうこの台詞で鳥肌と涙が止まらない。
わたしの生き方を肯定してくれる台詞であり、映画でもある。と改めて思った。
わたしは音の洪水の中、踊るのがなにより大好きだ。頭の中とからだを空っぽにして無になって、音ですべてを満たす。音とひとつになって昇天するのがたまらなく気持ち良くてドキドキする。そんなドキドキする瞬間こそ“生”を感じて、わたしはいま、生きている!と たまらなく嬉しくなる。パーティーで狂ったように踊ってる時に出来た友だちと“繋がる”瞬間にも同じようなドキドキを感じる。わたしはそんな一瞬のために生きている。


彼らのようにずっとドラッグのある生活を気ままにしてきた、音楽と仲間はいつだってそばにいて、思いつくまま、心のまま、刺激を求めて楽しい方へと流れるように生きてきた。

アレコレ摂取してすっかり出来上がって、
空いたテキーラグラスにおしっこして、シェアメイトと交換こして飲んだこと、楽しさのあまり渋谷警察署そばの歩道橋でおっぱい丸出しになったこと(楽しいと出しがち、昔から脱ぐクセ変わってない)、3pしよっかって試みたこと、パクられそうになってシェアメイトみんな仕事切り上げて相談し合ったこと、パーティー先で意気投合したひとたちをシェアハウスに連れ帰って時間を忘れてアフターパーティーしたこと、大好きだった彼のうちで三日三晩ろくに飲まず食わずでドラッグ合宿したこと(途中、まじで半分あの世に逝った)、たまに行く仕事にはノーパンノーブラパジャマで向かいそのまま仕事をしたこと(そしてそれをお客さんに褒められる)…
そんなあれこれがまるで走馬灯のように蘇ってきた。どうしようもなく毎日が楽しかった。望んだ環境に身を置いて、好きなように好きなことばかりしてた。時々刺激不足になれば、新しい何かを探してみたりもした。それが正解だし、当時の生活がずっと続くものだと信じてた。
でも終わりは 音も立てず静かに そして、あまりにも突然やってきて、それまでの生活に終止符を打つことになった。どうしたらいいのか分からずに、何も手につかない中 泣きながら友達に連絡したら、その決断を下したあなたは強い!って励ましてくれて、夜を一緒に過ごしたこと、隣に憧れの彼女が眠っていることが信じられなくてなかなか眠れなかったこと、最後の夜にシェアメイトのひとりと初めて二人きりになって話し合ってハグをしたこと、そんなことも全部ぜんぶ鮮明に覚えてる。

どうしようもなくて、でもどうしようもなく最高なシェアメイトとの生活は、わたしの価値観をガラリと変えたんだ。今のわたしがいるのは、間違いなくあの頃のどうしようもないわたしがいたから。世間からしたら、クソみたいな生き方だったのかもしれない、でもわたしにとっては素晴らしく輝かしい日々で、そしてそれは死を臨んでいたはずの自分の生きる糧となった。こんなに楽しいことがあったんだ世界には!こんなに気持ちいい瞬間があったんだ生きてく中で!って、衝撃的だった、あまりにも。わたしを音楽とダンスとドラッグに導いてくれたわたしの好奇心と、直感と、ご縁と、そしてわたしと繋がってくれたすべてのひとに、感謝の気持ちと拍手を送りたい。


“乾杯しよう、生きてること 生きること 人生に!”

わたしはこれからもわたしのまま、わたしの人生を踊り続けるよ。
時には狂ったように、欲望のままに。
刹那的でもいい、魂を燃やして生きる瞬間に出会えるように。
空きっ腹に酒

空きっ腹に酒