あゆぞう

オン・ザ・ロードのあゆぞうのレビュー・感想・評価

オン・ザ・ロード(2012年製作の映画)
4.0
ビートジェネレーションの代名詞といっていいジャックケルアックの小説が原作

時代の先端であった作品ということもあって舞台となった時代は最近のように感じるけれど、実際は1950年前後

主人公サルが共に旅をする盟友ディーンの車はその時代を象徴するハドソンのコモドールで、これは「ドライビングミスデイジー」と同じもの

旅の本質は覚醒と出会いと深化だと思うのだけど、これは僕が一人旅が好きだからで、この作品の場合はこれに狂熱と狂騒が加わる

旅とその後に訪れる虚脱、放心、現実との直面、そして新しい旅への希求が、時代背景、ドラッグ、アルコール、創作、男と女、家族、友情、など織り交ぜながらつづられていく

疾走する車とジャズにスピード感を、クリステンスチュワートとキルスティンダンストに男から見た女性像を、それぞれ語らせる構成

ヴィゴモーテンセン、終盤のスティーブブシェミがらしくてよかった

監督は名作「セントラルステーション」(DVDスルーの名作!また見たい!)「モーターサイクルダイアリーズ」のウォルターサリスで、この小説の映画化権利を持っていたFFコッポラが満を持して白羽の矢を立てた人物

撮影監督は同じく「モーターサイクルダイアリーズ」「イントゥザワイルド」とロードムービーにも長けたフランスのエリックゴーティエ

手練れのスタッフによる映像は叙情に流されすぎないところでメリハリがあり、しっかり感情に訴えかけてくる

時代考証が怪しいのと、好みの問題だけどやや凡庸な主題の配置、彩度の高いグレーディングが残念といえば残念
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