【悪の洟垂れ】
『ベネデッタ』からの流れで、そういえばと再見したくなり、U-NEXTにて。
カトリックの寄宿学校から膿む、15歳の少女二人によるウェイ系悪徳日記。目指すは悪魔の域。今思えばなるほど70年代始めの空気…。
凡庸な演出、舌足らずな語り…お陰で特に、少女が文学に毒される経緯が不明だが…作り手の立ち位置は明快で、言いたいことは伝わる。公開当時では、衝撃だったことでしょう。
『ベネデッタ』の後では、商売としては、ロリータ版ナンスプロイテーションだな、とも受け取れる。
人を救うはずのキリスト教自体が救いようのないもの、との前提で始まり、そのまま結末へ。
そのどうしようもなさを、今さらながら確認できるのは教育的価値ありだけど…。悪魔に魂を売れば地獄の炎に焼かれるのだ!と、あの結末を自分に都合いいよう、受け取る原理主義者も居そうだな。
そうではなく、彼女たちを救えぬほど教会は無力ってことだよね。そもそも、神に見護られている筈の寄宿学校が、悪魔へと向かう兆しを見抜けないって、その時点で救いがない。まずはオトナが、ザル。
改めて、神と悪魔の二元論に縛られていては、できる解決もできなくなる、と実感しちゃった。そもそも、神を持ち出せばいい、てのが間違いで盲信。教会側は、老若男女みなが納得のお手本には成りようが無い。
主演二人の、撮影時の正確な年齢は知らないが、リードするアンヌ役ジャンヌ・グーピルは既に成人していたらしい。が、ナゼか“ヤラれ役”担当になるロール役カトリーヌ・ヴァジュネールはまだ10代!? ソコまでイク!?なレイプ関連も演じており、そりゃ上映禁止にもなるわと。つくづく、野蛮な時代でしたねえ。
個人的な白眉は、アンヌが性的な告白をするフリをして、神父の本性を暴いてしまうシーンかな。でも現在では、教会のグルーミングから逃れるにはこれくらい強かであれ、とのメッセージにも受け取れる。子供たちがそうあれば、現実のカトリック性虐待被害者もだいぶ減ることでしょう。
現代では、少女たちによるあの最終行為を悪の勝利、と受け取るおマヌケさんは少ないと思うが、もし欠片でも共感したのなら、実際に同じことをやらかした人の行為…解像度高い映像や写真を見てみるといいのでは?物凄い苦痛苦悶で、耐えているようでもこの人、絶対後悔しているな…としか見えないよ。
それにしても、本作の翌年に『小さな恋のメロディ』が公開。対立構造が近いが、スイーツな反動だろうか?
<2024.7.31記>