オトマイム

ドリーマーズのオトマイムのレビュー・感想・評価

ドリーマーズ(2003年製作の映画)
4.2
双子って他人と相容れないものがあるのだろうと常々感じる。テオ(ルイ・ガレル)とイザベル(エヴァ・グリーン)もとくべつ親密だ。居心地のよい巣の中に籠りふたりだけの世界で子どものように延々と遊んでいる。そしてアメリカ人留学生のマシュー(マイケル・ピット)を巻き込んでやがて性の遊びへと足を踏み入れていく。確かにインモラルなんだけど嫌らしくない。幼くて淫靡な美しい世界。

映画狂の3人の遊びがどれもこれもオマージュに溢れ、映画好き、特にヌーヴェル・ヴァーグを始めとした古い映画好きにはたまらない。そして3人の、この時期特有の脆く危うい美しさにはため息。すばらしいキャスティングだと思う。初々しいマイケル・ピット、いかにもパリジャンらしい享楽的なルイ・ガレル、そしてエヴァ・グリーン。着衣でも脱いでも顔だけ見てても美しい。流石は後のボンドガール!

ベルトルッチの他の大作からすると愛すべき小品といった趣だけれどとても好き。他に似た作品を思いつかない。フランスの5月革命を描いた映画はたくさんあれどこれほど内向的で自己完結的な作品も少ないのではないか。美しき若者たちの成れの果て。