ねぎおSTOPWAR

ドリーマーズのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

ドリーマーズ(2003年製作の映画)
4.5
かなり特殊な映画だと感じましたが、おススメします。

まず前提として「フランス5月革命」。
なんとも不勉強でした。文化大革命はわかっていてもコレを知りませんでした。
実は先日観たトリュフォーの「夜霧の恋人たち」の撮影と時を同じくして映画界にとっても重大なことが起きていました。トリュフォーは「夜霧の・・」の撮影を抜けて運動支援をしていたそうです。なので半分くらいなのでしょうか、不在でのだったのですね。
ではそれは何かと言うと、フランスのラングロワさんが時の文化大臣から突如更迭されたと。ラングロワさんはナチスからフランス映画のフィルムを取り返し、国出資のシネマテークの創設者。それに抗議してフランスのそして世界の映画界が動いたんですね。

セネストの五月革命がラングロワ事件を取りこむ形で大きなムーヴメントになったと。
全体としては60年代後半はアメリカではヒッピーを中心としたカルチャーが発達。世界的な文化的革命が同時多発的に発生したと言えるでしょう。
(なんという偶然か。2018/10/7BSNHKで「1968激動の時代」というスペシャルが放送)
これは過去の話でもなんでもなく、今にも通じるのかもしれませんね。

さてこの「ドリーマーズ」は当時のパリを舞台にして、ラングロワの映画ワークショップで知り合った3人のストーリーです。つまり3人は映画マニア。
フランスの一卵性双生児(男女)の家に転がり込んだアメリカからの留学生(男)。相当変わった双子です。親がしばらく留守にしたことで自由奔放な生活が始まります・・・。

ゴダールなど古い映画になぞらえていくつかの場面が出てきます。万人がピンとくるようなものではありませんが、例えば「はなればなれに」という映画。
劇中でルーブル美術館を9分45秒で駆け抜けているのです。同じく男女3人。この記録にチャレンジをするシーンが原作と交互に。こういったインサートはまさに映画へのオマージュ。

そしてトリュフォー映画と言えばジャン=ピエール・レオですが、彼はモノクロ部分とカラー部分に二度出演しています。この意味は映画を観て探してください。

さすがベルトルッチという映像は導入部、3人が街中を走るシーン。
警察との衝突から走り逃げる3人が街の階段に仕込んだ照明に照らされて出来る大きな影。アートですよねー。そこからのカメラPANも欄干を画面下に映り込ませるのが良かった。景色とは逆に動くスピード感がいいです。