福福吉吉

永遠の0の福福吉吉のレビュー・感想・評価

永遠の0(2013年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
佐伯健太郎(三浦春馬)は祖母の葬式の日に祖母には現在の祖父の前に太平洋戦争時に特攻で死んでいったもう一人の祖父がいたことを知る。健太郎はフリーライターの姉から頼まれてもう一人の祖父のことを調べる手伝いをすることになった。その祖父、宮部久蔵(岡田准一)を知る人物に当たっていくうちに健太郎は彼の生き様に並々ならぬ想いを感じ始める。

◆感想◆
太平洋戦争時に生きた凄腕のパイロットながら何よりも生きることを望んだ兵士の生き様を辿っていくうちに目的を見失っていた青年が生きる意味とその重みを感じるようになっていくストーリーとなっており、戦時中の日本であまりにも異色だった兵士が貫いた意思の強さとそれを語っていく関わった人々の思いがしっかりとまとめられていて、心に突き刺さるものがありました。

佐伯健太郎は司法試験に失敗し、目的を見失っていた矢先、もう一人の祖父、宮部久蔵のことを知り、姉の頼みもあって興味本位で調査し始めます。健太郎は観ている私たちの分身となって宮部久蔵が守りたかったもの、伝えたかったものを知るようになっていきます。

本作のキー・パーソンである宮部久蔵は、パイロットの技術は群を抜いていたが、生き延びることを最優先にしており、そのため、周囲から臆病者呼ばわりされていました。そこには残してきた妻子への思いがあって、最後まで久蔵はその姿勢を変えなかったことから決して臆病者でなく、一本筋の通った人物であることがしっかり伝わってきました。

健太郎は久蔵と関わった兵士たちに話を聞いていくのですが、その一つ一つのエピソードが非常に丁寧且つ心に刺さるものがあって、久蔵という人物像にブレが無く一貫性を保っていて、ストーリーの良さを感じました。戦時中の日本の「命がけ」が当たり前という風潮に真っ向から対峙して最後まで命を大事していった久蔵の思いは現在の日本にこそ大事なものであるように感じました。

比較的長い上映時間の作品ですが、久蔵にまつわるエピソードの良さとなぜ久蔵が最後に特攻を選んだのかという作品の肝の部分の凄みが時間の感覚を忘れさせてくれました。

今こそ生きる意味を考えるべきときなんだということを強く感じさせる作品であり、とても良かったです。

鑑賞日:2025年5月7日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
福福吉吉

福福吉吉