くろねこヤマ子

世紀の光のくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

世紀の光(2006年製作の映画)
4.3
アピチャッポンの
作品を少しずつ
観ていっています。

彼の作品には
森と光の線と
カサカサとした音が
多く出てきます。
そして静かな話し声。

どうしよう、凄い好き。

今回は森でなく病院が舞台。

とあるひとつの日常(出来事)があり、
ただだだ受け止めて観ていると、
突然…光が覆いかぶさる感覚が襲う。

そうして同じ日常が再び繰り返される。
昔から現代へと以降した院内で。

同じやり取り、同じ人間、
同じが沢山なのに、
過去よりずっと
湿度が抜けた出来事へと変わっている。

決してドライではなく、
優しい空気は過去と変わらない。
優しい受け止め方と穏やかな声は
タイっぽいなぁ、とも思う。

ノスタルジーなのか、何なのか。
抜けた湿度のまま物語は進む。
繰り返しから、その先の日々へと。

過去とは変わってしまったけれど、
過去の空気はまだ残っている感覚。
監督の過去の短い作品にも
必ずでてくるこの空気、紐解きたい。

監督が幼少の頃から
慣れ親しんでいるであろう病院。

廊下の奥行きの出し方や、
診察室の映し方が建築パース画的ね。
なぁんて思っていたら、
建築を学んでいたと知り納得。
こういうのは単純に嬉しい(*ΦωΦ*)。