継

チコとリタの継のレビュー・感想・評価

チコとリタ(2010年製作の映画)
4.5
成功を夢見る若きピアノ弾き, チコと
聴く者を魅了する美しい歌い手, リタ。

会う度に喧嘩とキスを繰り返すふたり
だが NYのプロモーターに見初められ
渡米したリタは ひとりスターへの階段を駆け上がっていく.
一方でチコもマネージャー・ラモンと共に一足遅れてNYへ旅立つのだが…


2010年, スペイン+イギリス製作のアニメーション。
1948年のキューバ・ハバナから, NY(New Yorkじゃなくスペイン語風に“Nuebo York”と読むのが気分♬), パリ, ハリウッド, 一旦キューバ革命のハバナへ戻って, ラスベガスへと続く音楽&恋愛物語。

ギリシャのミュージシャンを描いたバンドデシネ「レベティコ_ 雑草の歌」って大判コミックを読んでて思い出した作品。
『セブン・デイズ・イン・ハバナ』ってオムニバス映画を観た頃に一緒に観たんだけど, いつの間にかAmazon Primeにあって。でもコレはソフトとして手元に持っておきたい欲求に駆られます。

とにかく雰囲気満点。

まるで, モデルとする人や街並みをグラフィック・ソフトに落とし込んで,それを下絵にして上から手描きでなぞったようなタッチ?というか、
人物の動きはセクシーでなまめかしく, 実在する建築が立体的に立ち並ぶ各都市の街並みは一様に写実的で。
対照的に顔立ちや服装なんかはデフォルメされて, これは好き嫌いが分かれそうだけど, 眉をひそめたりとかのちょっとした仕草はニュアンスに富んでいて, 自分には問題ありませんでした。

ジャズ, クラッシック, アフロキューバンを流す劇伴はいちいちツボを押さえた選曲(パーカー, モンク, ガレスピー等も登場!)が為されて,
人種差別を根底に置きながら『あの映画』をチョットだけ思わすストーリーもまずまずの出来。

冬のNYで夜に雪を降らして,モノクロに淡く浮かぶネオンの色彩を際立たせたかと思うと, 逆にチコの見る夢ではデザイン的にカラフルに遊んでみたり,
窓を伝って室内へ微かに聞こえてくる波の音や Zippoの開閉・着火音, 木床を踏む靴音, 鳥のさえずりetc…
色使いや音使いにも細かな配慮が行き届いた, ちょっとオシャレでビターな大人のアニメーション, オススメです(^^)!
継