ひでぽよ

鍵のひでぽよのレビュー・感想・評価

(1974年製作の映画)
2.0
神代辰巳の『鍵』。映画として評価すると、まず貞節を尽くす女を描くのに最初のシーンが遊女の仮想シーンてのはダメだな、そうとしか見えなくなる。てか(失礼だが)女優の顔が下品なので古風で旧道徳を守るという設定に無理がある。そして最大の欠点は話の“鍵”である「日記を読ませる行為」の意味が全く無い内容だという事。

原作の大ファンである者からすれば、ゴールは既に“ここ”に在るわけで、それを如何に再現できるか、もしくはそれを如何に超えるかを期待してしまう事は仕方がない。

その上で原作と比較すれば、
まず木村を何故ジェームス・スチュワート似からジョンレノン似にしたのかという点。考えがあるんだろうが木村はあんなに下品ではない。行動や性格からしても絶対に容姿はジェームス・スチュワート系統である。そして木村はあんなにも礼節をわきまえない人間ではない。正直、原作の良さを全て削いだリンゴの芯みたいな映画である。

…と、谷崎好き原作好き目線から言うと言い過ぎてしまうが、それを抜きに単に映画として評価しても決して褒められるものでは無い。

まずこのテーマをポルノ映画で描く事には少し無理があったように思う。理由は この物語に関して言えばあまり肌を露出しない方が “良さ” が出るのではないか と思うからだ。露出がある方が喜ばれるポルノと露出を控えると魅力が増す物語と…相性が悪い。その中でこの物語をポルノ映画という場で勝負をかけた事は至極挑戦的である。しかし物語をほぼ丸々そのまま持ってきたのは失敗だったかと個人的には感じる。
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