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ヒットマンズ・レクイエムのfujisanのレビュー・感想・評価

ヒットマンズ・レクイエム(2008年製作の映画)
3.7
思ったよりもイニシェリン島のコルムとパードリックでした😅

「イニシェリン島の精霊」、「スリー・ビルボード」と、複雑な人間劇を描いているマーティン・マクドナー監督脚本の初期作品。

「イニシェリン島の精霊」でコルムとパードリックを演じた、ブレンダン・グリーソン(指を投げつけた人)と、コリン・ファレル(困った八の字眉の人)が、そのまま同じコンビで出演している作品です。

イニシェリン島のパンフレットなどでも、二人の付き合いはこのヒットマンズ・レクイエムから始まっていたことが書かれていて、私自身、ずっと観たかった作品でした。


■ 簡単にあらすじ
二人のヒットマン、ケン(ブレンダン・グリーソン)とレイ(コリン・ファレル)は、細かい指示が無いままベルギーのブルージュにやってくる。

ホテルで連絡を待つようにと指示を受けている二人だが、やることもない上になぜかツインルームで同室に。二人の性格は水と油で、歴史文化への興味があるケンは観光に出ようと誘うが、レイは拒否するなど終始ぎくしゃく。

ホテルで連絡を待つが、なかなか連絡はこない。その間にレイはナンパした女性の自宅で暴行事件を起こすなどいろいろトラブルを起こすが、憎めないキャラクターのレイをケンは見守る。

そうしていると、ついにケンに連絡が。しかし、その指示は思っていた内容とは違うものだった・・・という話。


■ 感想
監督の「セブン・サイコパス」は自分には合わなかったので少し心配もしていたのですが、今作はとても面白い映画でした。

マーティン・マクドナー監督作品はなぜかジャケ写がイマイチで、「セブン・サイコパス」は火薬多めのB級脳筋アクション映画に見えるし、「スリー・ビルボード」もイマイチ、今作の「ヒットマンズ・レクイエム」も脳筋ガンアクション映画に見えますが、映画のトーンとは合っていないです。

この映画、ヒットマンとありますが、ガンガン誰かを殺していくわけではなく、ヒットマンという職業に苦悩する二人の人間劇で、終盤以外はどちらかというと静かなヒューマンドラマです。

期待してたんと違う!っていう人もいると思いますが、イニシェリン島の精霊から辿ってきた私にとっては、嬉しいサプライズでした。

イニシェリン島との比較でいうと、知的なコルム(ブレンダン・グリーソン)と、あまり何も考えていないパードリック(コリン・ファレル)の雰囲気はそのまま。終始二人の会話が中心で物語が進むので、イニシェリン島の二人のやり取りが好きな人は楽しめる作品と思います。

また、イニシェリン島でコルムは気難しい役柄でしたが、この作品では人懐っこい優しい笑顔が印象的な役柄で、ブレンダン・グリーソンっていい役者さんだなーと、あらためて気付かされました。

ただ一点、この作品、アメリカ基準のR指定(日本だとR15+以上)で、たしかに終盤30分ぐらいはちょっとグロいシーンがあります。個人的には、グロ要素の映像は唐突感があったし、無くても成立する作品だと思ったので、そのあたりはちょっと残念でした。


余談:
原題:IN BRUGESの通り、ベルギーのブルージュの街並みの映像が美しかったので行ってみたい




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