ずっと観たいと思いながら放置していた作品。
泡沫候補と呼ばれる彼らは、勝ち目の無い選挙になぜ立候補するのか。
マック赤坂に密着しつつ、戸山恒一や羽柴秀吉、その他大阪知事選に立候補した他の泡沫候補にもインタビューを試みている。
演出や映像の切り方は独特で少しカルトっぽいドキュメンタリー。
同じ立候補者であるにもかかわらず、有力とされる候補はメディアに大きく取り上げられる不公平さ。
メディアに取り上げられない泡沫候補は、ある者は街頭でひたすら挨拶だけを繰り返す。ある者は一切の選挙活動を行わない。
マック赤坂は歌と踊りで街行く人の足を止めるが、真面目な演説を始めると誰も足を止めなくなる。
単なる自己顕示、金持ちの道楽と見られるマック赤坂。確かに傍目にはマックが真剣に政治活動を考えているとは思えない。
だが真剣とは何だ? 深刻な顔して当たり前の社会問題の解決を訴えることが真剣なのか? 投票する側はどうだ。真剣に投票先を考えているのか? 付き合いがある、誠実そう、人気があるみたいな理由で投票することは真剣なのか? 自民党にお灸をすえるという理由で民主党に投票した連中は真剣だったのか?
真剣だったというならそんな真剣さは害悪だ。いらない。
話が逸れた。
なぜ負けるとわかっていて選挙に立候補するのかというテーマについてはあまり突っ込んだ回答や理由といったものはこの作品では得られていない。
だがラストは妙な感動がある。息子の「1人で戦ってんだ」という叫びは胸をうつ。
闘わない君の歌を闘わない奴等が笑うだろう、な感じ。
今年遂に議員となったマック赤坂。道楽かそうでないかの評価を下すのはもう少し先か。