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わたしはロランスのleylaのレビュー・感想・評価

わたしはロランス(2012年製作の映画)
4.3
年末ドラン祭り。
はみ出すほどの顔のアップで怒りや葛藤を、廊下の長い引きのシーンで悲しみをなど、まるで人格を持っているかのようなカメラワークとライティングでの心情表現が斬新。カメラが多くを語る分、観ているこちらは客観的な目で観ていられるのがよかったな。
特に雪や枯れ葉、洋服が舞うカットが美しかった。
衣装やインテリアなど、独特のセンスも引き込まれる。

トランスジェンダーで女性になりたいロランスとその恋人フレッドとの10年間を綴る。

性的マイノリティを扱う作品は多いけれど、どっち側の苦悩もリアルに描いているのはあまりないかも。ドラン自身もゲイなので繊細な描写が出来ているんではないかと思う。

この映画と同じ状況の知り合い夫婦がいて、カミングアウトした夫はそれでスッキリした様子だったけど、妻の方は受け入れるまでに葛藤があって、受け入れてからは一緒にショッピングやメイクしたりして楽しそうにしている。その夫婦を見ていると、最後は男と女を超越した人間愛なのかな〜と。

映画の設定はけっこう前なので、まだまだ差別が酷かった時代。レストランのシーン、フレッドの気持ちを考えると見ていて切なかった。
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