Taketo

わたしはロランスのTaketoのレビュー・感想・評価

わたしはロランス(2012年製作の映画)
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初めて見たのは大学一年の時にアップリンクで見たと思います。その時は寝不足だったのとなんとなく尺が長いとので寝てしまった記憶があります。改めて今回見直しました。
前作の「胸騒ぎの恋人」でマニ教的というセリフが出てくると思うのですが、今作はまさしくマニ教の二元論的考えとは逆を行くものだと思いました。つまり愛しているけれど一緒にはいれないと言った事や、男の体でありながらも自分は女性だと思っており、でも女性が好きという境界線を引けないようなロランスの存在ともリンクしていると思います。

以前、眠いながらも見ていても覚えているシーンがいくつかあります。
1つはロランスが指にクリップをつけているシーンです。このカットの前に彼は授業に出ている女子生徒を見ています。このカットだけだと女性生徒が好きなのかなと思いますが、指のカットが入ることで女性の体を望んでいることが一発で伝わると思います。また、他の映画で見たことの無いような絶妙な比喩表現だとも思いました。
2つ目はフレッドがカフェの店員にキレるシーンです。店員のセリフの内容が絶妙に差別をしていると事に気付かない人のセリフのように思えました。

当時見た時は偉そうにも個々の演出(ロランスからの本を読んだフレッドが部屋でずぶ濡れになる比喩やフレッドがロランスに隠れてパーティーに行くシーンなど)が突出していてると思いました。今もそう思わない事もないですが、グザヴィエドランという監督がここまでくるともはや様式美とも思えるような気がしてきます。とはいえ若気のいたり的要素もあるのか、オシャレなセンスは残していながらも「トムアットザファーム」や「たかが世界の終わり」などではより抑えめな表現になってきているように思います。

線引きできないような存在であるロランスとそれを受け止めようとするフレッドは素晴らしく寛容でありながらも、時がたつにつれてそれを突き通すことの難しさをそこから感じることができたと思いました。

あとは「マミー」の主人公の子が今作に出演しているは思いませんでした。
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