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わたしはロランスのkatoharuのレビュー・感想・評価

わたしはロランス(2012年製作の映画)
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映画館を後にしてしばらくぼーっとしてしまった。3時間を長く感じなかった。
好きな人の1番好きな映画らしい。今の時代を感じさせるようなLGBT的なことがテーマというよりは、それがややこしくしてるが、普遍的な恋と愛と母の映画と感じた。ロランスの思考はやっぱり男性よりなのかなと思ってしまうシーンもあったが(妊娠したフレッドが言えないところとか)、2人は親友のようで、ソウルメイト?のように惹かれあう。確かにぶつかり合いのきっかけは性の悩みだったかもしれないが、どんな人にもありえそう。

幸せが溢れ出る瞬間がある反面、激しくて壊れてしまいそうな未来をも予兆させ、観ていると苦しい!
しかも最後のシーンが2人の出会いのシーン。どうせ別々になるのならそもそも出会わなきゃ良かったの?出会って良かったの?最後に問いを投げかけられる。このまま一緒に居たいだけだったのに。お互いのココロの結界が爆発する。
ありのままでいること、お互いの幸せを保つのがこんなにも難しいカップルだが、何度もお互いに惹かれ合いながらも、それぞれが自分らしく居たいともがく激情ロマンス。お互いが正直に自分らしくいられる道へ。もうこのまま金輪際終わりなのか?果たして。
余談だが、ウィンクをするロランスは嫌いじゃない(笑)。

演出は、とても美しい画、心の震えを盛り上げる音楽と、間の取り方や、全てを説明しない言葉の切り取り方が印象的で、監督のハイセンスな美的感覚と、研ぎ澄まされた細やかな感情の起伏さえも逃さない表現力を感じる。
2人の幸せな駆け落ちのシーンは時が止まったような鮮やかな瞬間に演出され、特に美しい。でも美しいは儚い。時よ止まれ。
これが観たのは2作目だが、食わず嫌いしてた(嫌いというわけではない)グザヴィエ・ドランの他の映画も観たくなってきた。
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