せびたん

モスダイアリーのせびたんのレビュー・感想・評価

モスダイアリー(2011年製作の映画)
3.5
映像は極めてオーソドックス。特に冒頭からしばらくの間の構図なんかは(あえて?なのか)隙だらけなので視覚的な刺激がほしいときにこれを観たらがっかりしたかも。

しかし特に映像が悪いわけというわけではなく、繰り返しになりますがオーソドックスなだけかと。キメるときはちゃんとキメてた気がする、たぶん。ある意味見事な刺激のなさ。そのかわりに話はそこそここみ入って?おもしろい構造?だったような。つまり映像見てんじゃねえ、話に集中しろよってことなのかなと素直に思って話に集中した。

その話はドラキュラ譚ともとれるし、レベッカの妄想ともとれる作り。あるいはドラキュラ譚だとミスリードした別の怪物の物語かも。もしくはレベッカと怪物は同じ存在のふたつの側面かも。つまりどうにでもとれる。想像が広がっていく作りなのが私にはおもしろかったものの、こういう作りは今風じゃないのは理解できる。良くも悪くも資本主義が人の心に深く浸透している時代なのでわかり易い「対価(時間といくばくかのお金をかけたことに対する)」、誰もが納得のいく「答え(時間とお金をかけたことの意義)」を用意しておいたほうがウケはよかったんじゃないかと思った。
そんなものは本来自分で見つけるもののような気がするけど今はお金をもらう側がちゃんと用意して提供したほうがウケがいい。ていうか提供しないと商品じゃないとか言われるかもしれない。どこまでサービスしたら納得してくれるんだ、怖いわ。と、仕事中にたまに思うことを正直にここに書いてみた。私の仕事は映画とか文化とかとは最も遠い接客業みたいな営業みたいな感じ。

主人公レベッカのルームメイトのルーシーは、ブラム・ストーカーのドラキュラにやられちゃう女の子の名前と同じなので、やはり同じ運命を辿っていった。そのプロセスに、予想よりも見どころが多かったのはよかったと思う。

そんなわけでこの作品は、それほど悪くはないけれど、強く推したいわけでもない映画。好きか嫌いかでいうと好きな映画。
せびたん

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