いち麦

最愛の大地のいち麦のレビュー・感想・評価

最愛の大地(2011年製作の映画)
2.0
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を背景に、敵対関係にある2派間の男女の恋愛を描いたA.ジョリー監督デビュー作。セルビア系によるボシュニャク系弾圧は非人道的で残虐極まりなく、まるで現代のホロコーストかと。
先を追いたくなるストーリー展開と雰囲気のあるカットで最後まで飽きさせない。ただ、ヒロイン=アイラの言動や表情が自分の目にはリアリティーなく映り、気持ち悪いほどの違和感を覚えた。最初のラブ・シーンの映像テイスト等は特にそう…。思わず、おいおい、これ違うよな〜って思ってしまった。演じたザーナ・マリアノヴィッチが美しく魅力的なのは、もう両手を上げて降参なのだが。
あとこの手の社会派の作品としては台詞から伺えるはずの情報量が致命的なくらいに少ない。対ムスリムという構図だけでこの地の紛争の複雑さを削いでいるのも何とも腑に落ちなかった。実に惜しい作品だ。
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