YokoGoto

最愛の大地のYokoGotoのレビュー・感想・評価

最愛の大地(2011年製作の映画)
3.5
アンジェリーナ・ジョリー初監督作品。ボスニア・ヘルツゴビナの内戦で引き裂かれた男女を通して、内戦で起こった悲惨な情景を綴った作品。

アンジーが、約10年前に国連難民高等弁務官(UNHCR)の特使として初めてボスニアを訪問した際、難民キャンプに収容されていた被害女性から直接聞いた話が基になっている。

ひたすら、アンジーの熱い想いが伝わる作品。
映画としてもまとまっているし、なによりも、怒りにも似たアンジーの、魂が込められている。

物語は、愛し合う男女が引き裂かれる数奇な運命だけでなく、紛争により、女性がうけた残酷なレイブ被害、そして人間としての尊厳を失うほどの過酷な扱いを、細かな描写豊かに描かれ、目を覆いたくなる現実を見せつけられ言葉にならなかった。

ムスリム人の女性とセルビア人の将校。この設定が何を意味するのか、ラストシーンで露わになる。

女性監督ならではであろう。
描写の視点が素晴らしかった。

身震いどころではない、気分が悪くなるような出来事にも、果敢に真っ正面から向き合ったアンジーがアッパレである。

この内戦で、7万人の女性がレイブ被害にあい、世界で始めて、人道的罪として認められ裁かれた。つい20年前の出来事に、そのリアリティに感情移入させられ、問題提起の札を投げかけられるような作品。
こういう社会派作品は好きだ。
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