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花と蛇のdaiyuukiのネタバレレビュー・内容・結末

花と蛇(2003年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

“遠山ビルディング”社長・遠山隆義(野村宏伸)の妻にして、世界的タンゴ・ダンサーでもある静子(杉本彩)は、彼女を我が物にしようと企むフィクサー・田代(石橋蓮司)の奸計にまんまとはめられた夫の裏切りで、各界セレブ会員が集う円形コロシアムに生贄として差し出される。
そこで、夜な夜な繰り広げられるSM殺人ショウのスタアに仕立て上げられるべく、様々な地獄の責めを受けることとなる静子。
しかし、初めこそ抵抗を試みるも、ボディガードの京子(未向)が彼らの毒牙にかかったと知ると、流石の彼女も屈服するほかなかった。
客の前で辱められ、その客たちにも凌辱されていく。
そして、ショウの締めくくりは田代自ら彼女の肉体を堪能するのだ。
だが、齢95の田代は腹上死。
隙を見てコロシアムを逃げ出した静子は、迎えに来た夫に向けて銃爪を引く。
悪い夢に終止符を打つ為に……。
鬼才石井隆が、団鬼六の傑作SM小説に挑戦した話題作。
公開当時は杉本彩が体当たりで挑戦したSM調教シーンが話題になったのだが、この映画では有名タンゴダンサーだが夫との関係が冷えてきていて性的に満足させてもらっていない静子夫人と静子夫人に劣等感を感じていてつい静子夫人に冷たくしてしまい酒に溺れている遠山のねじれた夫婦関係をキューブリック監督の「アイズ・ワイド・シャット」のように幻想や妄想を交えて描かれているところに、石井隆監督は力を入れて描いている。
静子夫人と遠山の関係に、静子夫人に憧れているボディーガード京子や静子を自分のものにしようとする田代や田代を慕う企業舎弟の社長森田が入り込んで、石井隆監督お得意の愛憎劇が展開していくストーリーが見事。
特にクライマックスで、静子夫人が遠山と田代にどういう行動に出たかの意外さには、静子夫人の女心の複雑さが表れている。
静子夫人が、花魁や女侠客に扮して縛り上げられローソク責めや水責めなど様々な責めにあうSM調教シーンは、見所。
ラストの切ないオチは、杉本彩自身の人生と重なるものがあり余計に切ない。
「ショーの始まりです!」
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