こたつむり

ウォッチメンのこたつむりのレビュー・感想・評価

ウォッチメン(2009年製作の映画)
4.2
ペンは剣よりも強し。

過去と現在。複雑な人間関係。パラレルワールド。正直なところ、3時間で全てを表現するのは困難な世界観。しかも、全体的に暗い映像が続くから「よーし、ヒーロー映画を観るぞー」なんて気持ちで臨んでいたら玉砕していたと思います。そういう意味では事前情報を仕入れていないことが良かったのでしょう。

そして、先入観を抱かなければ。
映像の根底に流れるビターな風味。
アタマの中で歴史を紐解くヒリヒリ感。
スタッフロール直前まで先が読めない展開。
安易なハッピーエンドなんて期待出来ない大人向けの作品。うはは。シビレますねえ。

また、ザック・スナイダー監督の作品なのに。
アクションは少なめで爽快感も足りない…というのも異質でした。

でも、考えてみれば。
日本が誇るヒーロー『ウルトラマン』だって、前半のドラマ部分がシッカリしているから、怪獣との対決が活きるわけで(ジャミラもガヴァドンも重要なのはドラマでした)。やはり、アクション映画だってドラマを重要視すべきなのです。

だから、本作は。
閉塞感に満ちたサスペンスドラマのようですが…やはりヒーロー映画なのです。

正義とは?悪とは?
人間が生きていくために必要なものは?
最後の最後まで問いかけてくる姿勢は、見事なまでのスペクタクル。真のヒーローは、死しても屈しないもの。その魂こそがヒーローである証なのです。

まあ、そんなわけで。
圧縮率が高い脚本なので、展開についていくのが大変でしたが、ツボにハマれば3時間の長尺も気にならないくらい。しかも、敷居が高い=複数回楽しめる構造…ということですからね。きしし、また観よう。

それにしても。
登場人物の造形から“他のヒーロー映画”を連想してしまうのですが…これって製作者も狙っているのでしょうか。特に《ジョン》の造形からは、マーベルの某キャラクタを想起しましたよ。

だから、ティムティム丸出しなのも“人間性を失っている”という表現の他に…実はライバルへ向けたヘイトを含んだ隠喩かも…って、それはさすがに妄想ですね。というか、パンツは履いてほしいよなあ。物語に集中できないです。
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