怨念大納言

人間椅子の怨念大納言のレビュー・感想・評価

人間椅子(2006年製作の映画)
1.8
例に漏れず原作は無視!
まぁ、それはいいでしょう。

相変わらず、江戸川乱歩の持っている様々な魅力のうち、エロの再現のみに注力された映画。
で、大してエロくもないのでこの映画は椅子のように空っぽです。

色気の点で言えば、小沢真珠の綺麗な事…。
若干やり過ぎなくらい、妖艶なお姉さんをしっかりやってくれます。

あとは、私の思う江戸川乱歩と監督の思う江戸川乱歩が大きく解離していたか、そもそも監督は江戸川乱歩の作風なんてどうでもよくて、人間椅子のアイデアを拝借したかっただけなのかもしれない。

原作の人間椅子は、そもそも椅子職人の手記であるから、当然椅子職人の心情がメインに描かれる。
醜い容姿に起因する孤独や鬱憤が、椅子の暗闇で解放される皮肉と奇妙さが魅力の一つです。
それから、椅子に座る人間が椅子職人の存在を知らないという奇妙な支配の構図も。

それらがあってこそ、人間椅子にただエロいだけでない魅力があるのに、本作ではただのSMプレイ。
形をどう変えても、そこは再現して欲しかった。

ただ、どうやったって実写化しても間抜けになるであろう人間椅子(本体)に迫力と変態性を持たせていたのはよかったです。
怨念大納言

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