S

人間椅子のSのネタバレレビュー・内容・結末

人間椅子(1997年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

2021/11/17
映画・チャンネルNECO-HD(録画)

1925年(大正14年)江戸川乱歩の同名短編原作小説を、水谷俊之自らが脚本を兼ねて監督した映画。不気味なスリラーで「エロ・グロ・ナンセンス」と表現される。

ストーリーは、外交官の夫を持つ、豪華な屋敷で暮らす潔癖症の女流作家・篠崎佳子のもとにある日手紙が届く。
内容は家具職人の男からの謎めいた告白だった。どれだけ立派な西洋椅子を創り続けても、貧しい生活で不幸な男は自らが椅子と一体化することを思いつく。そして、皮を一枚隔てて女性を感覚で味うことに恍惚を覚え…という官能倒錯ロマン映画。

90年代にヒットした映画やドラマで主役女優であった清水美沙主演。因みにDVDでは、旧芸名の清水美砂と表記されている。
珍しく山口小夜子的なボブに、ほっそりとした肢体で着こなす着物が艶めかしく美しい。鼻筋が通った横顔が綺麗。こういう大人っぽい女優は近年日本ではめっきり見なくなった。アンニュイかつ繊細でミステリアスな役がとても似合う。

夫役の若い國村隼の存在感も見事。屋敷に知人を集め、自らに瓜二つの人形腹話術を披露するのが趣味という、内心何を考えているか読めない夫と、潔癖症の妻の夫婦生活も奇妙極まりないのだが…。

家具職人役に山路和弘、使用人の温水洋一、女中役の光浦靖子などが好演。
また藤原紀香、網浜直子、立河宜子といった当時のフレッシュな女優達が端役で出演。

数年前に江戸川乱歩×満島ひかりでシリーズ化されたドラマ『人間椅子』一部のみ観たが、こういう結末だったとは。

江戸川乱歩と言えば、今夏の『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』スコーレでの35㎜フィルム上映を見逃してしまったのが残念。


2021-323
S

S