乱歩の作品って、明智小五郎みたいな探偵物はともかく、猟奇耽美な作品を映像として表現するのは多分無理だと思う。
なぜなら、作品の中の非道徳性、つまり殺人やエロスの表現を美ととらえることは、人の想像や妄想を超越しなければ視聴者の満足を得られないからだと感じるからだ。
特に、人間椅子や陰獣、芋虫、白昼夢なんかは、短編という理由もあるけど脚色しすぎてオリジナルを壊す(実際壊してるのもある)ことで、作品の世界観が違くなると感じます。
さて、今回見た人間椅子(1997)も、例外なく大分脚色されてました。それでも2007版よりはましです。まだ淫靡な世界観があったので。というか、多分主演の清水美沙の妖艶な感じが良かったんだと思います。
椅子の中に入り、座る夫人を感じている男が椅子の中にいる!そこまでがこのストーリーの陰鬱なとこですけど、何か足りない。多分自分の妄想が、映像より激しいんだと思います。
そして当然ラストは原作と違います。当然ですね。人間椅子のラストはある意味オチみたいなもんですから。
陰獣や屋根裏の散歩者の映画も見ましたが、やはりピンときません。なので、乱歩を絡めた作品は、名探偵コナンに任せておけばいいような気がします。