がんちゃん

オーガストウォーズのがんちゃんのレビュー・感想・評価

オーガストウォーズ(2012年製作の映画)
3.0
ジャケ写からしてハッタリ臭がすごいとは思ったが、もはや映画のジャンルすら詐欺ってくるというロシア恐るべしな逸品。

2008年8月に実際起きたロシアとグルジアの「8月戦争」に巻き込まれたロシア人親子の物語。心に傷を負った子供の視点からは現実の戦争がまるで架空のSFロボットアクション超大作のように見えている、という設定はユニーク。戦車が一瞬でロボットに変形したりと某米国製ロボットSFのあれを完コピできていて笑える。

しかし恐るべきはこのエセトランスフォーム、本作がロシア軍全面協力の戦争プロパガンダ映画であることのカモフラージュにもなっていること。作中ではグルジアとロシアのどちらが先に攻撃を仕掛けたかをはっきり描いてはいないが、真相は果たして…。
ちなみにメドベージェフ大統領が実名で登場するが本人より1.5倍ハンサムという忖度ぶり笑

従ってミリ萌え映画として楽しむのが正しい見方だとは思うが、グルジア軍はアメリカから表向きタリバーンの牽制を目的とした武器提供がされている。つまり“味方の銃”というイメージの強い米国製M4ライフルをパンパン撃ってくる方が今回は敵キャラなので注意。
逆にロシア軍の正式装備はテロリスト御用達のAKシリーズという、普段ハリウッド映画を観慣れていると脳が一瞬混乱するという珍現象が起きる。ハインドも飛んでくるがこれも味方なので、メタルギア好きなFOXHOUND隊員はスティンガーしないように注意。

お母さんの成長が【オトコ】と【クルマ】を通して描かれる点は面白かった。
最初は異性に媚びるようなエロい服で、息子を前夫に預けて彼氏とバカンスに行っちゃうヤンママだった。道中も常に男たちに助けられては助手席に座るという受け身な性格。
しかし終盤は対称的に、自らハンドルを握って子供を助けに向かう。一般人のくせにカーチェイスになった途端に半端ないドラテクを発動するのはアクション映画のお約束(笑)。
(例:『96時間リベンジ』の無免許娘)
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