Haco

琥珀色のキラキラのHacoのネタバレレビュー・内容・結末

琥珀色のキラキラ(2008年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


美しきタイトルですが、モチーフが!?です。
もう一度繰り返します。モチーフが!?です。
琥珀色の、あれのこと。

------

『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)、『長いお別れ』(2019)の中野量太監督が、2008年度の文化庁委託事業「若手映画育成プロジェクト」で撮った、31分間の短編映画。
“家族”の(この作品に関してはカッコをつけさせていただきます)中の交わりを、どこかユーモアのある切り口で描く作風は、このあたりから既にあるのかなあなんて思いました。

 二年前に妻を病気で亡くした父・省三。二年前に母を病気で失った娘・涼子。
 二人はお互いを思い合い、心配を掛け合う。琥珀色のあれを軸に(笑)すれ違ったりもするけれど、一生懸命に互いを思うからこそ、見ていてくすぐったい気持ちになる。
 寝ている省三が「生きているか」を確認するために、娘である涼子が鼻の近くに紐(?)を当てて鼻息で揺れるかどうかを見ている……、というような一瞬の動作にもツッコミどころがありすぎて、でも微笑ましくて。

 そんな藍沢家の父娘二人の元に、関西弁を話す道子さんがやってくるというストーリー。家族みたいだけれど家族ではない、微妙な距離の中に三人はいる。娘の涼子も、なんでもしてくれる道子さんに戸惑ったり、でも親しみを感じたりもしながら、そんなふうに漂っている。
 こんな関係の中で、道子さんが家で電話を取る時の『もしもし、藍沢ですけど』というキリリとした一言。意志の通った言葉にハッとさせられる。中野監督の家族に対するまなざしは、こんなキリッとした一言の中にもあらわれたりするかな、とも思う。

中野監督が撮る“家族”を、もっと見ていたい!!!


------〈あらすじ〉

おかっぱ頭の涼子はちょっと内気な中学一年生。二年前に母を病気で亡くしてからはずっと父・省三との二人暮らし。そんな藍沢家に三ヶ月前、突然、髪を頭の上でキュッと束ねた関西弁の道子さんがやって来た。家族のようで家族でない微妙な三人の琥珀色の物語。

(文化庁委託事業 若手映画育成プロジェクト「ndjc2008中野量太監督完成作品『琥珀色のキラキラ』高松市美術館で上映!トークショーも開催」http://www.vipo-ndjc.jp/news/4651/ より。)


あっっ「若手映画育成プロジェクト (ndjc)」ですと、2015年度の『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』がずっと観たいと思ってるんですが、観れる機会がないんだなあ、、。
Haco

Haco