ねこ無双

殺人蝶を追う女のねこ無双のレビュー・感想・評価

殺人蝶を追う女(1978年製作の映画)
3.8
『下女』のキム・ギヨン監督作品。
死への渇望。生への渇望。
怪奇ホラー?ホラーというジャンルに入れるのもちょっと悩んでしまうようなシュールな映画。
とにかく死をモチーフとする蝶と、生首へのこだわりがすごい。
不条理、奇想天外、ユニーク。
途中長く感じるけど、こんなストーリーを撮り上げてしまう手腕に驚かされてしまう。
どこからが幻想か真実か。
あのラストシーンなら、どちらでもいいよって思えるかも。

美術の色合いがとても綺麗。
黒基盤に鮮やかな赤、青、黄、オレンジ、緑。頭蓋骨まで青く光っている。
また、まるで油絵で塗ったかのように錯覚する場面すらあった。

(勝手にタイトル)
第1部 無理心中女と、なかなか死なない押し売りのおじさん
第2部 肝臓を欲しがる元ガイコツ美女
第3部 高慢お嬢様とその父上に死を翻弄される主人公

初めて会った女に毒ジュースを飲まされて以来、死に取り憑かれてしまった主人公。
自宅で首をくくって死のうとする主人公を止めるために何度も生き返り戻ってくるおじさん。
このおじさんが強烈で、まず呼んでもいないのに本を押し売るために勝手に家の中に入ってくるという…
決め台詞が「私は死なん!意思の力だ」

ポンポン菓子が次々と飛び交う中での美女とまぐわうシーンも忘れ難い。
第3部はちょっと長い…冗長に感じるけど、終盤の生首展開が強烈。

とにかく死にたいくせに恐ろしいほど食欲のある男でいつもラーメンやら何やら食べ続けている。
死に取り憑かれていたのに、殺されそうになると逃げまわり、いざ死ぬとなると生きる意思が湧く!皮肉な話です。


🐾JAIHO体験記⑥